1.もしも全てが同じならば
  それはきっと最も平和で秩序のある退屈な世界だ






2.人が生きるために退屈の苦痛から逃れようと
  危険の中へ飛び込むという仮定をたてるのならば
  どうして生きようとするのかという疑問に帰結する






3.ぼくらが二つでひとつならば良かったのに
  そうすればこの世界の全てを僕ら双子(ふたり)で共有できたのに







4.ただ、自分以外の誰かが
  自分以外の誰かを指差して罵るのを待っている






5.些細なことでぐらぐら揺れる
  疑心暗鬼 ここまでいくと、もはや取り返しがつかない






6.自分が死因をつくった対象に対して
  もがいているその姿を手にかけて楽にするのは
  「慈悲」と呼べるのだと、あなたはそう思いますか






7.裏切りを許せるほど強くない
  素直に傷ついてあげられるほど優しくない






8.いっそのこと叩ききってくれればいいのに
  そんな曖昧な優しさなど 苦痛を強める香辛料にすぎない






9.理性で引き止める
  欲望のままに、この引き金を引いてしまわないように






10.これ以上踏み込めば どうなるか分かっているはずなのに
   震える手 真っ直ぐに立たない体 それでも引き寄せられるように前へと






11.叫びだしたい狂気を押さえこんで生きる
   まだ この世の中に存在させてもらうために 他に拒絶されないために






12.惹かれる度にまたひとつ苦しくなる
   壊したい衝動を抑えきれなくなるまえに、離れることができるだろうか






13.僕はそれを幻想だと知っていました
   幻想だと知っていたからこそ その夢に溺れたんだ






14.縋りついたこの世界は
   何処までも醜悪で 退屈で そうしてどこまでも魅力的だった





15.境目を見失うと終わりだ
   知らない間に、もう戻れない場所にいることになる





16.自分の心臓をえぐりだして切り裂いたなら
   この胸の痛みは、おさまってくれるのでしょうか





17.いっそうのこと引き裂いてくれたら
   立ち直れないほどに引き裂いてくれたら、焦がれることもなかったのに





18.頭の中で警告音が鳴り響いているのに
   甘美な怠惰の海に、私はまた、身体を沈めていくのだ





19.仮令その一生がどれだけ短くとも
   自らを全うして生き抜いた者の魂は、花火のように鮮烈に輝いて散る





20.その指先で私の髪を撫でないで
   その笑顔を私に向けてみせないで
   いつか失うと知っているのに、こんなにも貴方を愛おしく思う